2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

クトゥルー神話朗読シリーズ

えー、少し前からパンローリングなる会社が、翻訳(研究)家・大久保ゆうさんの新訳によるラヴクラフト作品のオーディオブック数点をWeb通販しており、気になってはいたのですが、つい先日また、「ナイアルラトホテップ」「ダゴン」「宴」の三篇の朗読のダウ…

まかり出でたるは、マイクロフトと申す養蜂家だ。

シャーロッキアーナ的トリビア。H.F.ハードの「マイクロフト氏もの」の本邦初お目見えは、 『蜜の味』 ではなく短編 「葬儀屋モンタルバ氏の冒険」 "The Adventure of Mr. Montalba, Obsequist" ( 田路千年訳 別冊宝石75号 世界探偵小説全集29 ディクス…

ブラヴァツキーを読まなかった男

ラヴクラフトは自身の宇宙年代記的神話世界を構築するにあたって、ブラヴァツキー夫人の『ドジアン(ジアン)の書』(『シークレット・ドクトリン』に含まれる)から直接少なからぬ要素を借りてきている、というのが長らく通説となっていたが、ダニエル・ハ…

先師追懐

ステフアーヌ・マラルメを偲びて フランシス・ヴィエレ=グリファン 誰びとか呼びかけて、「師よ善哉《ぜんざい》!ひと日の黎明《いなのめ》地にきざし、黎明ここにまた相不変《あひかはらず》の仄じろさ、 師よ、われ窓を開け放てば、ひむがしの斜面《なぞ…

敗けざるもの

INVICTUS ウィリアム・アーネスト・ヘンリー 奈落をもどき闇々《やみやみ》と 極より極へ ひろごりて蓋《おほ》ひかぶさる夜の裡ゆ 何若《いかん》の神にまれ 感謝なしたてまつる まつろはぬ魂を賜りしわれは 境遇のあらけなき手には攫まれながら われ 経て…

神の匣 The God-Box

霧の都ロンドン。午後。 若き考古学の徒、キャラヴェル君はセインツベリーへ行って帰ってきたところ。ストーンヘンジからの出土品で、博物館に展示されていた「神の匣」を、自分の造ったレプリカとすり替えてきたのでした。貴族で金持ちのコレクターに売って…

ラヴクラフトとハッセ

ヘンリー・ハッセ(ハーセ)のクトゥールー神話作品「探綺書房(本を守護するもの)」は、『ウィアード・テールズ』の一九三七年三月号に掲載された。ラヴクラフトが亡くなったのは同年の三月十五日だった。一見、両者のあいだには不幸な擦れちがいが生じて…