ウィリアム・バトラー・イェイツ作「再臨」

めぐりまためぐり、広がりゆく螺旋を描きつつ、
鷹は聴きとれない、鷹匠の声を。
物象七花八裂し、中心は中心たりえず、
まったき無秩序放たれて世をたち覆えば、
血で濁った潮流があふれ出し、
いたるところで、清浄無垢の典礼を呑みこむ。
最良のともがらが一切の確信を欠く一方で、
最悪のやからは熱情的なるつよさに満ちる。


確かにま近に迫っている、ある黙示が、
確かにま近に迫っているのだ、〈再臨〉が。
〈再臨〉! そう口にするかしないかのうち、
〈宇宙霊魂〉によりひとつの巨像が結ばれ、
わが視界を遮る。いずこかの不毛の砂地を、
獅躯人頭の一つのかたち、空白にして無情なること
日輪のごとき凝視もてのし歩くそのめぐり、
憤然として群れはばたく砂漠の鳥の影。


闇ふたたび落ちるも、いまや知る、
世紀を経ること二十回におよぶ石のねむりが、
揺籃に魘されて悪夢を得たのだと。
さてはいかなる粗暴の獣、その時ついに到ればこそ、
ベツレヘムを向いて身がまえ、生誕しようとしているのか?



William Butler Yeats (1865-1939)
THE SECOND COMING
http://www.potw.org/archive/potw351.html

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